遠く遠くに一人で来ると
いつもと違う誰かになれる気がして
別人スイッチを入れてみたりします。
普段一人で行かない雰囲気の居酒屋に
颯爽と入り一番奥のカウンターに座る。
舞台は居酒屋「かんむら」。
お酒を2杯ほど飲んで
なんとなく店に馴染まない僕に
タイミングを見計らっていた「かんむら」熟練店員が
カウンター越しに地元の言葉と空気で話しかける。
素性はすべては明かさない。
仕事なのか
知人を訪ねてきたか
嘘をつく必要はなく
ははは、と受け流しスキルを
発揮してみせるだけでいい。
謎の旅人設定は
ちゃんと出来ているだろうか。
もしかすると
カウンターの反対側でたまに目が合う
地元のボンドガール2名も
グラスを持って参戦して来るかもしれない。
オチは以下の通り。
台本もないやっつけ芝居では
接客スキル青字の熟練店員に
光の早さで攻略される。
噛み合いにくい僕との会話の主導権は
いつの間にがっつり奪われていて
飛び入り参戦した常連客のオヤジとの
「3人トーク」技の餌食に。
僕は普段よりもたくさんのお酒と
おすすめメニューの宮崎名物地鶏の炭火焼を注文させられて
隠していたかった結婚式参列話と
若いころの「穴があったら入りたい」ネタのひとつまで披露した。
フラフラと完全敗北を感じつつ
ホテルへ向かう真っ暗な帰り道。
やっぱり僕は
オヤジと相性がいいと思った。
それは僕もオヤジだからだった。